タイトル:Lunacy…?
制作年:2021
サイズ:1000mm × 810mm (F40)
画材:油彩・キャンバス
解説:
地球唯一の自然の衛星である月は、太古より人々を魅了してきた。その影響は、自転を遅らせ潮の満ち引きを起こすといった物理を超えて、人や動物のふるまいにまで及ぶと信じられてきた……月はさらにどんな謎を秘めているのだろう。なんと力強い友であることか。日本では、新月のころに木を伐ることを「新月伐採」と呼ぶ。その木は割れず、腐らず、反らず、カビず、虫がつかず、燃えにくく、千年もつと言われ、内部の空気を清めるとも信じられている。世界最古の木造建築で1,400年の歴史をもつ法隆寺は、新月に伐り出された木で建てられた。「芸術とは、見えるものではなく、人に見させるものである」(エドガー・ドガ)。月の表面は比較的暗い色をしているが、満月は夜空で最も明るい天体である。明るい高地と暗い「海(マリア)」の対比が、文化ごとにさまざまな模様として見出されてきた。私の作品に象徴として現れる不死鳥のように、月面の下に凍りついた水の存在は、いつか人類が不死を得る希望を差し出すのだろうか。それとも、月の渦に巻き込まれた小さな猫のように、私たちの人生はただその強い力に従い、生に律動を与えられるだけなのだろうか。/私自身のインスピレーション——澄んだ暗い空に縁取られた満月を見つめるとき、私の心は、この絶えずそばにある伴侶に人々が授けてきた神話や伝説のすべてに遊ぶ。その存在を、物理的にも形而上的にも、どう捉えればよいのか。人生を思うとき湧き上がる自分の深い感情を、どう分かち合えばよいのか。この瞬間が私の人生を変えるのだろうか。今夜? 明日? 永遠に? さあ、その瞬間が過ぎ去らぬうちに、絵筆に戻ろう……。(作中には、レディ・メアリー・ウォートリー・モンタギュー〈1689–1762〉の詩「A Hymn to the Moon」が添えられている。)
