← previous Cat's Talk next →

Cat’s Talk – in yellow

デジタルアートとの出会い——1980年代後半から90年代初めにかけてニューヨーク大学で学ぶあいだ、私はポップアート、抽象主義、インスタレーションアートに強く影響を受けた。当時は、花や果物、さらには自由の女神像まで、多くのデジタルの静物画を試みていた。「猫と過ごす時間は決して無駄にならない」(ジークムント・フロイト)。東京に戻った私は、我が家の猫レオとエルザとのやりとりに触発され、その実に個性的な性格に惹かれて、100枚を超える白黒のオリジナル・カンヴァスに彼らのさまざまな表情を捉えようとした。お気に入りの一枚を選んでデジタル化し、大胆で色鮮やかな一連のイメージをつくり、のちに一点ものの原寸大プリントへと仕立てた。この作品は、線と空間を用いながら古代ギリシアの黄金律の遠近法を尊ぶ、いわば東と西の融合である。「猫は感情に絶対的に正直だ。人間はなんらかの理由で感情を隠すことがあるが、猫はそうしない」(アーネスト・ヘミングウェイ)。キャッツ・トークの根底にあるのは、コミュニケーションと自己実現だ。私たちは仕事や日々の暮らしに追われ、自分が何者で、どこへ向かっているのかを省みる時間をなかなか持てない。猫の瞳の映り込みのなかに、私たちは自分自身を見る……。「芸術家が人々のためにしようとしているのは、何かに近づけることだ。芸術とは分かち合うことなのだから」(デイヴィッド・ホックニー)。キャッツ・トークは、芸術は心を豊かにするという信念のもと、文化庁長官・河合隼雄によって、日本の主要な金融街のひとつでのプロジェクトに選ばれた。新たな道——キャッツ・トークの最も新しい解釈が「キャッツ・トーク・ミラノ」で、2021年9月にイタリア・ミラノの M.A.D.S. アートギャラリーで展示された。この作品は、イタリア・デザイン史の真の金字塔となる象徴的なプロダクトや彫刻、インスタレーションを生み出したデザインの巨匠、ミラノの旧友エンツォ・マーリ(1932–2020)へのオマージュである。

Copy Protected by Chetan's WP-Copyprotect.